レーシック 乱視治る?角膜の形で分かれる4つの判断
「レーシック 乱視治る」の答えは乱視の形しだい。規則的な角膜乱視は多くが矯正の対象ですが、円錐角膜の疑いや測るたびに変わる乱視は見送ります。判断の基準をまとめました。
キム・ソニョン 代表院長
角膜・緑内障・白内障
医学監修キム・ソニョン 代表院長
編集: キム・ソニョン
目次
診察室で、私がこう伝える場面があります。『レーシックで乱視は治る?』への答えは、多くの場合「はい」です。
ヒーリング眼科 代表院長のキム・ソニョンです。
ただ、同じ「乱視 -2.00D」と書かれた処方箋でも、角膜の形しだいで答えは変わります。
知恵袋や眼科のサイトを何週間も読み比べていると、「乱視も治る」と「乱視は残ることがある」の両方に出会って迷うはずです。どちらも事実で、分かれ目は度数の数字ではありません。角膜地形図に映る乱視の模様と、測るたびに数字が安定しているかどうかです。度数ごとにどこまで矯正されやすいかは、度数別に「治る・残る」を分けた記事で整理しています。

乱視が治る目と、見送る目はどこで分かれますか?
分かれ目は角膜地形図の模様です。角膜の中心をはさんで上下または左右に対称な「蝶ネクタイ型」なら、レーザーで矯正しやすい規則乱視です。模様が片側に偏っている、あるいはゆがんでいる不正乱視は、レーシックで治すものではありません。
眼鏡の処方箋にある「C -1.50 Ax 180」のような乱視は、目全体の乱視です。大半は角膜から来ていますが、一部は水晶体から来ます。レーザーが整えるのは角膜なので、地形図で測った角膜の乱視と、視力検査で測った目全体の乱視を突き合わせ、量と軸がどのくらい一致しているかを見ます。大きくずれていれば、乱視がどこから来ているのか、涙が測定を乱していないかを先に確かめる必要があります。
ヒーリング眼科の精密検査では、角膜の厚み・地形図・瞳孔・涙液層を測ったうえで適応を判断します。パーソナルカスタムLASIKの検査では、波面収差計で目全体の収差マップも測定します。こうした数字を並べると、乱視の目はおおよそ次の4つに分かれます。
| 区分と乱視の状態 | 検査で見えるもの | 考える方向 |
|---|---|---|
| 見送る:円錐角膜の疑い・不正乱視 | 地形図の偏った急峻化、角膜の薄い点のずれ | レーシックは行わない |
| 待つ:コンタクトの跡・ドライアイ | 測るたびに量や軸が動く | 原因を除いてから測り直す |
| 条件つき:強い乱視と薄い角膜、大きな瞳孔 | 必要な切除量と残る角膜の厚み | トーリックICLと並べて比べる |
| 対象:規則的な角膜乱視 | 対称な蝶ネクタイ型、数字が安定 | 度数と一緒に矯正を検討 |
地形図が左右非対称な乱視には、レーシックを行いません
円錐角膜やその初期が疑われる不正乱視には、レーシックを行わないのが原則です。角膜を削って薄くすると、もともと弱い角膜が前方へ押し出され、乱視も近視も強くなっていくおそれがあるからです。
初期の円錐角膜は、眼鏡でまだ視力が出ることが多く、ご本人は「少し強めの乱視」だと思っています。手がかりになるのは、ここ数年で乱視が増えている、片眼だけ乱視が強い、斜めの軸の乱視が目立つ、地形図で下側が急に盛り上がっている、角膜のいちばん薄い点が中心からずれている、といった所見です。どれか一つで決まるわけではなく、地形図・厚み・度数の推移を重ねて判断します。
円錐角膜が疑われた場合は、視力を上げることより先に、角膜の形が進行していないかを経過で確かめることが優先になります。
コンタクトやドライアイで、測るたびに変わる乱視は「まだ」
測定のたびに乱視の量や軸が動く目は、その日の数字で手術を決めません。原因が角膜の一時的なゆがみや涙の乱れであれば、原因を除いてから測り直すと、乱視の数字そのものが変わることがあるからです。
ハードコンタクトレンズは、装用中に角膜の形を押さえて変えています。外したあと形が戻る途中で測った乱視は、本来の値ではありません。どのくらい前から外すべきかはレンズの種類や装用年数で違うため、相談時に確認します。
ドライアイも乱視の数字を揺らします。涙の膜が途切れると地形図の模様が崩れ、乱視が実際より強く、あるいは斜めに写ることがあります。この場合はドライアイクリニックで涙液層を整えてから測り直すのが順番です。
アメリカ食品医薬品局(FDA)も、過去1年のあいだに眼鏡やコンタクトの度数が変わった方を、屈折矯正手術に向かない例として挙げています。「まだ」は断りではありません。数字が落ち着けば、改めて同じ検査で判断できます。
乱視が強く角膜が薄い場合、レーザー以外の道はありますか?
あります。近視に加えて強い乱視を矯正すると、その分だけ角膜を削る量が増えます。削ったあとに残る角膜に余裕がない計算になる場合は、角膜を削らないトーリックICLを並べて比べます。
ICL(眼内コンタクトレンズ)は、虹彩と自分の水晶体のあいだに薄いレンズを入れて度数を矯正する方法で、角膜はまったく削りません。乱視があればトーリックICLで乱視の軸まで合わせ、必要になればレンズを取り出せます。
米国眼科学会(AAO)の技術評価(2009年)も、有水晶体眼内レンズを高度近視に対する選択肢として位置づけています。ただし眼の中の手術なので、前房の深さ、白目から白目までの直径、角膜内皮細胞の数を測り、条件を満たすかを確かめます。
もう一つの条件が瞳孔です。暗い場所で瞳孔が大きく開く方は、レーザーで矯正した範囲の外を光が通りやすく、夜に光がにじんで見えることがあります。FDAも大きな瞳孔を術前に確認すべき項目に挙げています。夜の見え方の話は光のにじみと瞳孔の記事に詳しく書きました。
乱視が矯正できたあとに残りうるリスク・副作用は?
規則的な乱視でレーシックの対象になった場合でも、乱視がわずかに残る、時間とともに少し戻る、夜に光がにじむ、術後しばらく目が乾く、といったことは起こりえます。どれも頻度や程度には個人差があり、術前の検査で予測できる部分とできない部分があります。
乱視の矯正では、量だけでなく軸も合わせる必要があります。座って測ったときと横になったときで眼球がわずかに回ることがあり、軸のずれは矯正の効き方に影響します。残った乱視が日常に響く程度なら、角膜の厚みと度数の安定を確かめたうえで追加の矯正を検討します。
まれですが重いものとして、手術後に角膜が弱って前へ張り出す角膜拡張があります。術前に地形図と厚みを確かめるのは、この危険がある目をあらかじめ外すためです。ドライアイについては、FDAも術前に確認すべき状態として挙げています。

40代以降の乱視は、水晶体も一緒に見ます
40代以降は、角膜だけでは決めません。この年代では水晶体も乱視の量や軸に関わってくることがあり、水晶体がわずかに濁り始めていると、角膜を整えても数年で乱視や度数が動く場合があります。
そのため水晶体の透明さや老眼の進み具合も含めて考えます。水晶体の濁りがはっきりしている場合は、角膜に手を加えるより、白内障手術でプレミアム眼内レンズを選び、老眼や乱視を同時に矯正する道のほうが合うこともあります。どちらにするかは、検査結果と、運転・読書・画面作業といった一日の過ごし方を合わせて考えます。
渡航前に、手元で何をそろえればいいですか?
日本でそろえておくと判断に役立つのは、直近の眼鏡の処方箋か眼科の検査結果、過去の度数の記録、使っているコンタクトの種類と装用年数の3つです。とくに度数の推移は、乱視が安定しているか、増えているかを見る手がかりになります。
ヒーリング眼科は新論峴駅から徒歩1分(江南大路470、10・11階)にあり、金曜は21:00まで診療しています。精密検査の結果と手術計画は、日本語の通訳を交えて説明し、検査から手術、術後管理まで1:1の担当主治医が受け持ちます。当日の動きは一人で受ける場合の当日の流れに、韓国語ですが本院のレーシック紹介はヒーリング眼科(韓国)のレーシックのページにあります。診療時間や治療の一覧はヒーリング眼科の日本語サイトで確認できます。
乱視がレーザーの対象になるか迷っているなら、まず手元の処方箋か検査結果を写真に撮り、LINEで送ってください。過去の度数の記録があれば一緒に送ってください。地形図を撮る前に決められることには限りがあり、検査の結果「レーシックは見送る」となる可能性もあります。
よくある質問
近視がほとんどなく、乱視だけでもレーシックは受けられますか?
規則的な角膜乱視であれば、乱視だけでもレーザー矯正の対象になることがあります。ただし地形図の模様、角膜の厚み、度数の安定を確かめたうえでの判断になります。乱視が角膜ではなく水晶体から来ている割合が大きい場合は、別の考え方が必要です。
円錐角膜と言われたら、視力矯正はもうできませんか?
円錐角膜や、その疑いがある目にはレーシックを行わないのが原則です。まずは角膜の形が進行していないかを経過で確かめることが優先になります。そのうえでほかの方法が検討できるかは、角膜の状態によって変わります。
レーシック後に乱視が少し残ったら、もう一度矯正できますか?
残った角膜の厚みと度数の安定しだいで、追加の矯正を検討できる場合があります。まず度数が落ち着くのを待ち、地形図と厚みを測り直してから判断します。角膜に余裕がない場合は、ICLなど角膜を削らない方法を含めて考えます。
斜めの乱視(斜乱視)はレーシックで治りにくいですか?
斜乱視そのものも、規則的であれば矯正の対象です。ただ、斜めの乱視が目立つことは不正乱視や初期の円錐角膜の手がかりになる場合があるため、地形図で模様を確認します。軸を正確に合わせることが矯正の効き方を左右します。
ハードコンタクトを長く使っていても検査は受けられますか?
受けられます。ただしハードコンタクトは角膜の形を変えるため、外してから形が戻るまで待って測る必要があります。何日前から外すかはレンズの種類や装用年数で違うので、相談時に確認します。