レーシック 角膜の検査表、厚さより先に「形」を見る理由
レーシック 角膜の検査で見る厚さ・形・残る角膜の量を、検査表の読み方として院長が説明。合わない場合の選択肢と、手元の結果で確かめる点も。
キム・ソニョン 代表院長
角膜・緑内障・白内障
医学監修キム・ソニョン 代表院長
編集: キム・ソニョン
目次
「レーシック 角膜」と調べてこのページに来られた方は、手元の検査表に並ぶ「角膜厚」や「トポグラフィー」の数字が、自分にとって問題ないのかを知りたいのだと思います。日本の眼科で「角膜が少し薄めですね」と言われ、その一言がずっと引っかかっている方もいるかもしれません。先に答えを書くと、レーシックで角膜について見るのは厚さだけではありません。
ソウル・江南のヒーリング眼科で代表院長をしているキム・ソニョンです。
厚さ、形(角膜形状解析)、そして手術のあとに残る角膜の量の三つを組み合わせて、ようやく「この方法で削ってよいか」が決まります。厚さが平均的でも形に小さな歪みがあれば見送ることがあり、逆に薄めでも度数が軽ければ選択肢が残ることもあります。

レーシックで角膜には何が起きるのか
レーシックは、角膜の表面に薄いフラップを作ってめくり、その下の角膜実質をエキシマレーザーで削って度数を変える手術です。削った角膜実質は元には戻りません。そのため角膜の検査は、「どれだけ削り、どれだけ残るか」を見積もる作業が中心になります。
近視の目では、光のピントが網膜の手前で結ばれています。レーザーで角膜の中央をわずかに平らにすると、ピントが後ろへずれて網膜に合うようになります。度数が強いほど、また矯正する範囲(光学部)を広くとるほど、削る量は増えていきます。
もう一つ見落とされやすいのが、フラップそのものも角膜の厚みの一部を使うという点です。クリアLASIKではこのフラップを薄く均一に設計し、検査で得たデータをレーザーの照射プロファイルに反映します。当院でレーザー矯正に使う機器はAMARIS Red(エキシマレーザー)です。ただ、角膜の厚みという材料の量は人によって決まっています。手術の設計は、その材料の範囲の中でしかできません。
角膜の厚さの数字は、引き算で読む
角膜厚の数字は、それ単独では合否を決めません。「今の厚さ − フラップ − レーザーで削る量 = 残る角膜」という引き算で読み、残る部分が角膜の形を支えられるかを見ます。同じ厚さでも、度数が軽い方と強い方とでは、残る量が大きく変わります。
検査表では、角膜の中央の厚さが「CCT」や「Pachy」といった欄に書かれていることが多いです。私が中央の値と同じくらい気にするのは、厚さのマップの中でもっとも薄い点がどこにあり、中央からどれだけずれているかです。中央が平均的な厚さでも、薄い点が下のほうに偏っている場合は、次の章で書く「形」の問題と重なっていることがあります。
引き算のもう一つの材料が度数です。度数がこの1年ほどで変わっている方は、削る量そのものが確定しません。米国食品医薬品局(FDA)も、過去1年以内に眼鏡やコンタクトの度数が変わった場合を、レーシックを慎重に考えるべき状況として挙げています。
手元に日本の検査表がある方に一つ知っておいてほしいのは、角膜の厚さは測る機器や測り方によって値がわずかにずれることがある、という点です。
日本で測った数字とソウルで測り直した数字が完全には一致しないことがあり、そのずれだけで判断が変わるような境目の方ほど、同じ日に複数の検査を重ねて確かめる必要があります。度数が強く、引き算の余裕が少ない方の考え方は、強度近視でレーシックが難しいと言われる理由でも詳しく書きました。
厚さが足りていても、見送ることがあるのはなぜ?
角膜の「形」に、円錐角膜の初期のような兆候が見えるときです。角膜形状解析(トポグラフィー)で、一部だけが局所的に前へせり出している、左右の目で形の差が大きい、といった所見があれば、厚さが十分でも角膜を削る手術は見送るのが原則です。
なぜ形がそこまで問われるのか。医療者向けのMSDマニュアル プロフェッショナル版は、角膜拡張症について、角膜が非常に薄くなることで、眼圧が薄く弱くなった角膜実質を不安定にし、前へ突出させるものだと説明しています。
もともと形に弱いところがある角膜を削ると、その弱さが表に出やすくなるおそれがあります。FDAも、薄すぎる角膜に屈折矯正手術を行うと失明につながる合併症が起こりうること、円錐角膜の既往がある場合は医師と相談すべきことを記載しています。
検査表のカラーマップは、暖色が角膜の急な部分、寒色がなだらかな部分を示すことが一般的です。日本で「少し気になる形」と言われた方は、その言葉が厚さの話なのか、マップの色の偏りの話なのかを確認しておくと、次の相談がずっと具体的になります。

瞳孔と涙液層は、角膜の検査とどう関わるのか?
瞳孔の大きさは「角膜のどこまでの範囲を矯正するか」に、涙液層は「角膜の表面の数値が正確に測れているか」に関わります。厚さと形だけを見ても、この二つが抜けていると手術の設計は完成しません。
暗い場所で瞳孔が大きく開く方は、矯正した範囲の外側を通る光が増え、夜間に光がにじんで見える可能性が高まります。FDAも、瞳孔が大きい場合にグレア、ハロー、光の筋、二重に見えるといった症状が術後に出ることがあると記しています。
そのため私は、瞳孔の大きさを見て夜間のにじみの可能性を事前に検討し、光学部の設計を調整します。広く矯正しようとすれば削る量が増えるので、ここでも前の章の引き算に戻ってくるわけです。夜の運転が多い方は、光のにじみと瞳孔の関係もあわせて読んでみてください。
涙液層が不安定だと、角膜の表面の形を測ったときに数値が乱れることがあります。乾いた角膜で測ったマップは、本当の形を映していないかもしれません。またFDAは、ドライアイがある場合、レーシックがその状態を悪化させる傾向があるとしています。涙液層が不安定であれば、まずドライアイの管理から始め、落ち着いたところで角膜を測り直してから手術の時期を決めます。
角膜の条件がレーシックに合わないときの選択肢
角膜が薄い、形に気になる所見がある、という理由でレーシックが合わない場合でも、表面を削るラセック、小さな切開で行うスマイル、角膜を削らないICLが候補として残ることがあります。どれが残るかは、厚さ・形・度数の組み合わせで変わります。
| 方法 | 角膜への関わり方 | 角膜の条件から見て考えやすい場面 |
|---|---|---|
| クリアLASIK | 薄いフラップを作り、その下を削る | 角膜の厚みが十分で、形が整っている |
| ラセック(Perfect Healing LASEK) | フラップを作らず、表面から削る | 角膜がやや薄め、または衝撃の多い仕事や競技をしている |
| スマイル(SMILE) | 角膜の内側でレンズ状の組織を作り、2〜4mmの切開から取り出す | 中等度の近視で、角膜の厚みが十分にある |
| ICL | 角膜を削らず、目の中にレンズを入れる | 度数が非常に強い、または角膜が薄く削る余裕がない |
表はあくまで角膜の側から見た整理です。たとえばICLは角膜を削らない代わりに、目の中にレンズを入れる手術なので、前房深度(レンズが収まる空間)や角膜内皮細胞の数といった、別の条件を満たす必要があります。スマイルも、度数が非常に強い方や角膜が薄い方ではICLのほうが合うことがあり、遠視や老眼の矯正が主な目的の場合は適応が限られます。
そして、円錐角膜の疑いがある、度数が安定していない、強いドライアイがある、という場合は、どの視力矯正も延期するか、別の道を探すのが妥当です。表のどれかに当てはめる前に、まず角膜そのものの状態を確かめる段階があります。
レーシックとICLの分かれ目をもう少し詳しく知りたい方は、角膜と度数で決まる、レーシックとICLの分かれ目をご覧ください。各手術の内容はクリアLASIKの手術案内とICL(眼内レンズ挿入術)の案内にまとめています。
角膜にまつわるリスクと、レーシックが向かない方
レーシックは角膜を削る手術なので、角膜の条件が合わない方に行うと、角膜拡張症のような深刻な合併症につながるおそれがあります。MSDマニュアルは、適切に患者を選んだうえでの視力障害の確率を1%未満としています。
裏を返せば、その数字は「選ぶ段階」が機能していることが前提です。
角膜の側から見て、レーシックを見送るか別の方法を考えるのは、次のような場合です。
- 角膜が薄い、または角膜形状解析で不規則な形や円錐角膜の疑い所見がある
- 度数がまだ安定していない(この1年ほどで変わっている)
- 強い目の乾燥がある
- 妊娠中・授乳中である
- 格闘技など、目に強い衝撃が加わりやすい活動をしている
条件が合った方でも、手術後しばらくは目の乾燥感や、夜間の光のにじみが出ることがあります。どの程度出るか、どれくらいで落ち着くかには個人差があります。過矯正や低矯正の可能性もゼロではありません。ここに書いた条件は一般的な目安であり、実際に合うかどうかは、対面での精密検査でしか決められません。
日本の検査結果があるなら、どこを写真に撮るか?
角膜厚(中央の値と、マップ上でもっとも薄い点)、角膜形状解析のカラーマップ、度数、検査日の四つが写っていれば、角膜について話を始める材料になります。度数の変化を見るために、過去の眼鏡の処方があれば一緒にあるとより役に立ちます。
コンタクトレンズを使っている方は、検査前に一定期間レンズを外す必要があります。レンズの圧で角膜の形が一時的に変わり、マップの数値に影響することがあるためです。何日外すかはレンズの種類によって違うので、相談のときに確認してください。日本の検査表に「コンタクト装用中」と書かれている場合は、その数字が角膜の本来の形とは少し違う可能性も頭に入れておくとよいと思います。
ソウルで検査を受ける場合、私は角膜の厚みと角膜地形図、瞳孔の大きさ、涙液層の状態、眼圧、角膜内皮細胞まで幅広く確認します。検査結果は日本語の通訳とともに、画面を一緒に見ながら説明します。
検査から手術、術後の管理まで同じ一人の主治医が担当するので、「あの数字はどういう意味だったか」を後から同じ医師に聞き直せます。クリニックは新論峴駅から徒歩1分の場所にあります。韓国語のページになりますが、ヒーリング眼科のLASIK案内(韓国語)でも手術の概要を見ることができます。日本語の診療案内はヒーリング眼科の日本語トップページにまとめています。
手元に角膜厚やカラーマップが載った検査表があれば、写真に撮ってLINEで送ってください。どの数字が引き算の材料になり、どこからが対面の精密検査で確かめるべき部分なのかを、私が数字を拝見したうえでお返事します。
よくある質問
角膜が薄いと言われたら、視力矯正はあきらめるしかありませんか?
あきらめる必要があるとは限りません。角膜を削らないICLや、表面から削るラセックが候補に残ることがあります。ただしICLには前房深度や角膜内皮細胞の条件があり、どの方法が残るかは精密検査で決まります。
レーシックで削った角膜は、時間がたつと元の厚さに戻りますか?
レーザーで削った角膜実質は元には戻りません。そのため手術前に、削ったあとに残る角膜の量を見積もることが欠かせません。再手術を考える場合も、この残りの量が判断の出発点になります。
円錐角膜の疑いがあると言われました。レーシックは受けられますか?
角膜形状解析で円錐角膜の疑い所見がある場合、角膜を削る手術は見送るのが原則です。まずは角膜そのものの状態を確かめることが先になり、視力矯正を考えるのはその後です。
日本で測った角膜の厚さと、韓国で測った値が違うことはありますか?
機器や測り方によって、角膜の厚さの値がわずかにずれることはあります。境目にある方ほど、そのずれが判断に影響するため、手術を決める前に改めて精密検査で測り直します。
検査前にコンタクトレンズは何日外せばいいですか?
レンズの圧で角膜の形が一時的に変わるため、検査前には一定期間外す必要があります。必要な日数はレンズの種類によって違うので、相談のときに確認してください。