ドライアイ 視力矯正 できるか――院長が「まず乾きを治す」と答える理由
ドライアイでも視力矯正はできるのか。院長が検査で見る4項目と、レーシック・ICLの選び分け、先に乾きを治す手順を正直に説明します。
キム・ソニョン 代表院長
角膜・緑内障・白内障
目次
「ドライアイなので、私はもう視力矯正はできませんよね」
診察室でこの言葉を、諦めた表情とともに聞くことがよくあります。答えは「できる方もいれば、今はできない方もいる」です。曖昧に聞こえるかもしれませんが、ドライアイ 視力矯正 できるかどうかは自覚症状の強さでは決まらないからです。決めるのは検査の数値で、しかもその数値は治療で動きます。今日はその中身を正直にお話しします。
ドライアイは視力矯正の「不合格条件」ではなく、「順番の問題」です。先に乾きを整え、数値が安定してから手術を検討します。
自覚症状と検査結果は、よくずれる
「ゴロゴロする」「夕方になるとかすむ」という訴えの強さと、実際の検査結果は一致しないことがあります。強い不快感を訴える方の数値が思ったほど悪くないこともあれば、「少し乾く程度」とおっしゃる方の角膜表面に細かい傷が広がっていることもあります。
ですから私は、問診だけで可否を言いません。ドライアイクリニックの診療ページにも書いていますが、当院が見るのは涙の「量」だけではありません。
検査で見る4つの項目
| 項目 | 何を見るか | なぜ矯正の可否に関わるか |
|---|---|---|
| 涙液層破壊時間(BUT) | 涙の膜が何秒で崩れるか | 膜が早く崩れると、術後の乾きが長引きやすい |
| 涙の分泌量 | そもそも涙が足りているか | 分泌低下型は点眼だけでは追いつかないことがある |
| マイボーム腺 | 油を出す腺が詰まっていないか | 油が足りないと涙がすぐ蒸発する(蒸発型) |
| 角膜表面 | 細かい傷の有無と範囲 | 傷がある状態での手術は回復を遅らせる |
この4つを見ると、同じ「ドライアイ」でもまったく違う状態だとわかります。蒸発型なのか分泌低下型なのかで、治療も、どの手術が向くかも変わります。
レーザーとICL、乾きの観点でどう違うか
レーザー矯正は角膜を削って度数を合わせます。このとき角膜の知覚神経が一時的に切断され、「乾いた」という信号が脳に届きにくくなります。涙を出す反射が鈍るため、術後数か月は乾きを感じやすくなります。多くは半年ほどで回復しますが、もともと乾きが強い方には、その数か月がとてもつらいのです。
一方ICL(眼内レンズ挿入術)は角膜を削らず、レンズを眼の中に入れます。角膜の神経に触れない分、乾きの負担は軽く済みます。乾きが理由でレーザーを避けたほうがよい方には、現実的な選択肢になります。
ただし誤解しないでください。ICLには眼圧上昇や内皮細胞への影響といった別の注意点があり、前房の深さなどの適応条件もあります。「乾くからICL」と単純に決めるのではなく、乾きの程度・度数・角膜の状態をすべて見たうえでの判断です。レーザーとの比較はICLが向く方の条件で詳しく書いています。
先に乾きを治す、という手順
中等度以上の方には、まず治療から入ります。当院では原因別に手を変えます。
- マイボーム腺が詰まっている(蒸発型) — IPLや腺の圧出で油の通り道を開けます。数回に分けて行い、そのたびに数値を測り直します。
- 涙の分泌そのものが少ない — 点眼を調整し、必要なら涙点プラグで涙を眼の上に留めます。
- 炎症が背景にある — 炎症を抑える治療を先に行います。傷がある状態では、どの手術も勧められません。
治療の内容は韓国のドライアイ治療で実際に行うことにまとめました。韓国本院の안구건조증 클리닉のページでも同じ治療方針をご覧いただけます。
数値が安定したら、そこで初めて視力矯正の話に戻ります。戻れない方もいます。その場合は正直にそうお伝えします。
日本から来られる方へ、順番の現実
ここが一番お伝えしたいところです。乾きの治療は1回で終わりません。数回に分けて経過を見る必要があります。つまり「渡航した週に治療して、その週に手術」という日程は、中等度以上の方には現実的ではありません。
実際には次のどちらかになります。
- 軽度の場合 — 渡航後の精密検査で問題なければ、予定どおり手術に進めることが多いです。
- 中等度以上の場合 — その渡航では治療と計画立てまで。手術は数値が安定してからの再渡航になります。
日本で点眼治療を続けてこられた方は、その記録をお持ちください。判断が早く、正確になります。ただし当院の判断には当院の数値が必要なので、渡航後にもう一度測り直します。
重度の方の進め方については重度のドライアイと視力矯正に詳しく書きました。
検査前にお願いしていること
コンタクトレンズは涙を吸い、マイボーム腺にも負担をかけます。装用したままでは角膜の本当の形も、乾きの本当の状態も測れません。ソフトレンズで最低1週間、ハードレンズではそれ以上、外していただいてからの検査になります。
不便なお願いだとわかっています。それでも、外さずに測った数値で手術の可否を決めるほうが、はるかに危険です。
正直に申し上げると
ドライアイの方の視力矯正は、乾きのない方より手間がかかります。検査の項目が増え、治療の期間が加わり、渡航が2回になることもあります。
それでも私が「できない」と最初から切らないのは、乾きは多くの場合、治療で動く数値だからです。動かない方もいます。そのときははっきりお伝えし、眼鏡やレンズとの付き合い方を一緒に考えます。手術をしないという結論も、診断のひとつです。
— キム・ソンヨン / ヒーリング眼科 院長
よくある質問
ドライアイでもレーシックは受けられますか。
受けられる方もいます。判断を分けるのは自覚症状の強さではなく、涙液層破壊時間(BUT)・涙の分泌量・マイボーム腺の状態・角膜表面の傷の4つです。軽度で腺の働きが保たれていれば、乾きを整えてから手術に進める場合が多くあります。中等度以上なら、先に治療して数値が安定してから再評価します。検査を受けずに可否は決められません。
ドライアイだとICLのほうがいいのですか。
角膜の神経に触れない分、レーザーより乾きの負担が軽いのは事実です。ただしICLにも眼圧上昇や内皮細胞への影響など別の注意点があり、前房の深さなど適応条件もあります。乾きが理由でレーザーを避けるべき方にはICLが選択肢になりますが、ICLなら誰でも安心という話ではありません。
手術のあとドライアイはひどくなりますか。
レーザー矯正では角膜の知覚神経が一時的に切断されるため、術後数か月は乾きを感じやすくなります。多くは半年ほどで戻りますが、もともと乾きが強い方はその期間がつらくなります。だからこそ順番が大切で、乾きを整えてから手術に進みます。
乾きの治療にはどのくらいかかりますか。
原因によります。マイボーム腺の詰まりが主因ならIPLや圧出を数回、分泌量そのものが少ないタイプなら点眼と涙点プラグで様子を見ます。いずれも1回で終わる治療ではなく、数値が安定するまで経過を追います。期間は検査結果を見てからお伝えします。
日本で治療してから韓国で手術することはできますか。
できます。日本で点眼治療を続けてこられた方も多くいらっしゃいます。ただし当院の判断には当院の検査数値が必要なので、渡航後にもう一度測り直します。日本での治療記録や点眼の内容をお持ちいただけると、判断が早く正確になります。
コンタクトが乾いてつらいのですが、それもドライアイですか。
その可能性は高いです。コンタクトレンズは涙を吸い、マイボーム腺にも負担をかけます。レンズが合わなくなって視力矯正を考え始める方はとても多く、その場合は乾きの評価が出発点になります。検査前は一定期間レンズを外していただきます。
