レーシックの後、夜だけ見えないのはなぜ?にじみと度数の戻りを見分ける
レーシック後、夜見えないときの原因は、光のにじみ・度数の戻り・乾き・水晶体の変化のどれかが多いです。症状別の見分け方と検査で確かめる項目、再手術やICLを考える順番を説明します。
キム・ソニョン 代表院長
角膜・緑内障・白内障
医学監修キム・ソニョン 代表院長
編集: キム・ソニョン
目次
昼の視力検査では問題ないと言われたのに、夜道の標識が読めない、対向車のライトに輪がかかる。レーシック後に夜見えないという相談に、ソウル・江南のヒーリング眼科で代表院長を務める私、キム・ソニョンがお答えします。原因の多くは「光のにじみ(ハロー・グレア)」「度数の戻り」「ドライアイ」「水晶体の変化」の4つのどれか、あるいはその重なりで、それぞれ出方が少しずつ違います。
ただ、どれが主な原因かは、症状を聞くだけでは決めきれません。強度近視で手術を受けた方は矯正量が多いぶん、にじみと度数の戻りの両方が起こりやすい傾向があり、原因が重なっていることもあります。見え方の違いを手がかりに、検査で何を確かめるかを順に説明します。
手術後、夜だけ見えにくいのはよくあることですか?
術後数週から数か月のあいだは、珍しくありません。角膜の表面と涙の状態が落ち着くにつれて軽くなることが多い一方、半年を過ぎても変わらない、または年々強くなる場合は、原因を一つずつ確かめる段階です。
米国食品医薬品局(FDA)は、レーシックが向かない可能性がある条件の一つに瞳孔が大きいことを挙げ、術後にグレア、ハロー、光の筋(スターバースト)、二重に見えるといった症状が出ることがあると注意を促しています。同じ資料では、度数が安定していない人やドライアイの強い人についても慎重な判断を求めています。つまり夜の見えにくさは、目の条件と手術の組み合わせで起こります。
見え方から原因の当たりをつける目安を、表にしました。複数が重なっている場合もあります。
| 夜の見え方 | 考えられる主な原因 | 検査で確かめること |
|---|---|---|
| 街灯やライトに輪がかかる、光が放射状に伸びる | 暗所での瞳孔の広がりと照射範囲の関係、高次収差 | 暗所の瞳孔径、角膜地形図、収差 |
| 全体がぼんやりし、遠くの文字が読めない | 度数の戻り、夜間の近視化 | 屈折検査、角膜の厚みと形状の変化 |
| 見え方が揺らぎ、瞬きの直後だけはっきりする | ドライアイ(涙液層の乱れ) | 涙液層の状態、マイボーム腺 |
| 暗くかすみ、まぶしさが年々増えてきた(40代以降) | 水晶体の濁り(白内障の始まり) | 散瞳しての水晶体の観察 |

光の輪やにじみは、瞳孔と照射範囲の関係で起こります
暗い場所では瞳孔が大きく開き、レーザーで矯正した範囲(光学部)の外側を通った光まで網膜に届きます。矯正された部分との境目で光の曲がり方が変わるため、ライトの周りに輪がかかったり、光がにじんだりします。
昼に気にならないのは、瞳孔が小さく、光が中央の矯正済みの部分だけを通るからです。
強度近視では削る量が多く、光学部の縁の段差が大きくなりやすいこと、高次収差と呼ばれる細かな像のゆがみが増えやすいことが知られています。「度数は合っているのに、夜の見え方の質が悪い」と感じる方は、この要素が大きいかもしれません。
高次収差は通常の度数検査では見落とされ、眼全体の収差マップで初めて読み取れます。当院のパーソナルカスタムLASIKが、夜間視力やコントラスト感度まで含めて設計する方法として用意されているのもこのためです。夜の症状を訴える目では、度数だけでなく暗所の瞳孔径と収差を合わせて見ないと、原因の半分しか見えていないことになります。運転への影響はレーシック後の夜間運転と瞳孔の話で詳しく書きました。
全体がぼやけるなら、度数の戻りを先に疑います
輪やにじみよりも「全体がぼんやりする」が主な訴えなら、度数が近視側へ少し戻っている可能性を先に考えます。角膜表面の細胞の厚みが変わったり、近視そのものが進んだりして、術後数年たってから戻ることがあります。
昼に気づきにくいのには理由があります。明るい場所では瞳孔が小さく、ピンホールのようにピントの合う範囲が深くなるため、わずかな近視なら見えてしまうのです。暗くなると瞳孔が開いてこの余裕がなくなり、同じ度数のずれがぼやけとして表に出ます。夜はピントがやや手前に寄りやすいこと(夜間近視)も、ぼやけを強める方向に働きます。
検査では、片眼ずつの屈折検査で残っている度数を測り、角膜の厚みと地形図が術後からどう変わったかを見ます。弱い度数の試験レンズをかけて見え方が明らかに変わるなら、度数の要素が大きいと考えられます。度数の戻りと再手術の考え方は、LASIK・LASEK再手術のページにまとめています。
乾きで夜の視界が揺らぐのはなぜですか?
涙の膜(涙液層)は角膜の表面をなめらかにするレンズの役目をしていて、乾いて途切れると光が乱れ、像が揺らぎます。レーシックでは角膜の神経が切られ、回復には数か月以上かかることがあります。そのあいだは涙の量や瞬きの反射が落ち、乾きやすくなります。
夜にこれが目立つのは、一日の終わりで涙の質が落ちていること、画面を見続けて瞬きが減っていること、暗所で瞳孔が開いて角膜の広い範囲を光が通ることが重なるからです。見え方がふっと揺らぎ、瞬きをした直後だけ少しはっきりする。この出方は、涙の関与を疑う手がかりになります。
涙が原因なら、レーザーでの再矯正より先に涙液層を整えるのが順番です。当院のドライアイクリニックでは、涙の量だけでなく質やマイボーム腺(油腺)の働きを見て、IPLやマイボーム腺圧出、涙点プラグ、点眼を組み合わせます。涙液層が不安定なまま再手術に進むと、回復も見え方も揺らぎやすくなります。
40代を過ぎて夜が暗くなってきたなら、水晶体も診ます
レーシックから10年、20年たって「夜が暗い」「ライトがまぶしい」と感じ始めた場合、角膜ではなく、その奥の水晶体が少しずつ濁り始めている可能性があります。白内障の初期は視力表の数字があまり下がらないことも多く、暗い場所でのコントラストやまぶしさから先に変わります。
原因が角膜と水晶体のどちらにもありうるので、両方を同じ目で見比べることが欠かせません。私は議政府聖母病院で角膜・白内障の臨床教授として両方を診てきたので、夜の訴えを聞くと、角膜の地形図と水晶体の濁りを並べて考えます。
見落とされやすいのが、過去の手術記録の価値です。角膜を削ったことのある目では、将来白内障手術を受けるときに眼内レンズの度数計算が難しくなることがあり、手術前の度数や角膜の値が残っていると計算の助けになります。手元に記録があれば、捨てずに保管しておいてください。
夜の見え方を取り戻すために、検査で何を確かめるのですか?
確かめるのは、残っている角膜の厚み、角膜地形図、暗所での瞳孔の大きさ、涙液層の状態、眼圧、角膜内皮細胞、そして水晶体です。原因が分かれば、選べる道もそこで絞られます。
夜の症状で鍵になるのは、残っている角膜の厚みと地形図です。地形図に不規則な形や円錐角膜を疑う所見があれば、追加でレーザーを当てる選択肢は外れます。厚みに余裕がなければ、表面から削る再矯正も難しくなります。
検査の結果によって、考えられる道はおおむね次のように分かれます。
- 涙が主な原因:まずドライアイの治療を行い、夜の見え方の変化をみてから次を考える
- 度数の戻りがわずか:夜だけ眼鏡を使うという選択も現実的
- 度数の戻りがあり、角膜に余裕がある:表面からの再矯正、またはフラップの状態がよければフラップを持ち上げての補正
- 角膜が薄く、これ以上削れない:角膜に触れず眼内にレンズを入れるICLを検討
- 水晶体の濁りが主な原因:進み具合に応じて、経過観察か手術時期の相談
ヒーリング眼科はレーシック・ラセックの再手術専門センターを運営しており、他院で手術を受けた方の見え方の悩みも診ています。韓国語ですが、本院の再手術センターの案内もあります。

再手術にも限界とリスクがあります
再手術で夜のにじみが減るとは限りません。瞳孔と光学部の関係から来るにじみは、追加の照射で軽くなる場合もあれば、角膜の厚みの制約で十分に手を入れられない場合もあります。追加で角膜を削れば、残る厚みはさらに減ります。
表面からの再矯正では術後しばらく痛みと見えにくさがあり、レーシックの再手術でもドライアイが一時的に強まることがあります。ICLは眼の中の手術で、眼圧や角膜内皮細胞の定期的な確認が欠かせません。米国眼科学会の技術評価(2009年)は有水晶体眼内レンズを近視矯正の選択肢の一つとして評価していますが、角膜を削らない代わりに眼内手術ならではのリスクを伴う方法です。
判断が分かれやすいのは、度数の戻りが小さく、主な訴えが輪のにじみである目です。この場合、追加照射で角膜をさらに減らしても、にじみのもとになる瞳孔と光学部の関係はあまり変わらないことがあります。夜の運転用の眼鏡や涙の治療を先に試し、それでも困る場面が残るかを見てから再手術を考えるほうが、角膜の余裕を将来に残せます。
度数がまだ動いている方、円錐角膜が疑われる方、強いドライアイが落ち着いていない方は、再手術を見送るか、別の方法を考えるのが妥当です。どの道が合うかは個人差が大きく、来院時の精密検査で決まります。
これから強度近視でレーシックを受けるなら、何を先に測りますか?
手術前に確かめたいのは、暗所での瞳孔の大きさ、手術後に残る角膜の厚み、角膜地形図の3つです。フラップを作らない方法との違いはスマイルレーシックでフラップがないと何が変わるか、削れる角膜の限界は強度近視とレーシックの限界で整理しました。
当院のレーザー矯正に使うエキシマレーザーはAMARIS Redですが、夜の見え方を左右するのは機器の名前より、照射の前にどこまで測るかです。診療科の全体像はヒーリング眼科の日本語ページにあります。
「対向車のライトに輪がかかる」「夜道の標識がぼやける」など、困っている場面は相談の手がかりになります。再手術が向かない目であれば、来院時の検査のあとでそうお伝えし、別の方法を一緒に考えます。
手術を受けた年と術式、当時の度数が分かる記録と、最近の眼科の検査結果を写真に撮り、困る場面を一言添えてLINEで送ってください。
よくある質問
レーシック後の夜の見えにくさは、何年たっても残ることがありますか?
多くは術後数か月で軽くなりますが、瞳孔の大きさと照射範囲の関係から来るにじみは、長く残ることがあります。度数の戻りや乾きが原因なら、眼鏡やドライアイの治療で変わる余地があります。どれに当たるかは、暗所の瞳孔径・屈折・涙液層の検査で分かれます。
夜だけ眼鏡をかけるのは、おかしいことですか?
おかしいことではありません。戻った度数がわずかなら、夜の運転のときだけ弱い度数の眼鏡を使うのは、角膜を削らずに済む現実的な方法です。再手術と比べて、残る角膜の厚みに影響しない点も利点です。
昔の手術記録がなくても、原因を調べてもらえますか?
記録がなくても、現在の角膜の厚み・地形図・度数・涙液層は測り直せます。ただ、手術前の度数や角膜の値は、将来の白内障手術で眼内レンズの度数を計算するときに役立つため、見つかれば保管しておくことをおすすめします。
ドライアイの目薬で、夜の見え方は良くなりますか?
涙液層の乱れが原因なら、見え方の揺らぎが軽くなることがあります。一方、にじみや度数の戻りが主な原因なら、目薬だけでは変わりにくいです。瞬きの直後だけはっきりするかどうかが、見分けの手がかりになります。
夜の見えにくさがあるうちは、運転を控えたほうがいいですか?
ライトに輪がかかって標識や歩行者が見えにくいと感じるなら、夜の運転は控えるのが安全側の判断です。症状の原因を確かめ、眼鏡や治療で見え方が変わるかを確認してから再開を考えてください。