レーシック 後戻りは避けられない?よくある思い込みを角膜から解く
レーシック 後戻りは若さやスマホのせい?角膜の治り方、近視の進行、乾きによるかすみを分けて、手術前に確かめる数字と再手術の考え方を院長が説明します。
キム・ソニョン 代表院長
角膜・緑内障・白内障
医学監修キム・ソニョン 代表院長
編集: キム・ソニョン
目次
ヒーリング眼科 代表院長のキム・ソニョンです。専門は角膜・緑内障・白内障です。レーシック 後戻りの話は、検査結果の説明が終わりかけ、通訳の方がメモを閉じたころに出てくることがあります。短くお答えすると、後戻りは一部の目に起こりえますが、手術前の「この1年で度数が動いていないか」「どれだけ削るか」「削ったあとに角膜がどれだけ残るか」で、ある程度まで見通しを立てられます。年齢やスマホの使用時間そのものより、度数の安定のほうが大きく効きます。
20代で、LCCで行ける今のうちに受けたい。でも数年で戻るなら意味がない。そう迷っている方がネットでよく目にする言い回しを、角膜で実際に起きていることと並べると次のようになります。
| よく見る思い込み | 実際に起きていること | 判断に使う材料 |
|---|---|---|
| 若いうちに受けると戻りやすい | 年齢より、度数がまだ動いているかが問題 | 1年以上あいた2回分の処方 |
| スマホの見すぎで戻る | 画面による乾きのかすみが、戻りと区別しにくい | 涙液層の検査 |
| 強度近視は戻るもの | 削る量が多いほど、角膜が埋め戻す反応は出やすい | 矯正量と角膜の厚み |
| 戻ったらもう一度削ればいい | 残った角膜しだいで、できない目もある | 残余角膜の厚みと地形図 |
| 精密なレーザーなら戻らない | 治り方はレーザーではなく体の側の反応 | 術後の経過確認 |

「後戻り」と呼ばれるものは、ひとつではありません
手術後に見え方が落ちたとき、まとめて「後戻り」と呼ばれがちですが、中身は少なくとも3つに分かれます。角膜が治る過程で度数が少し戻るもの、目そのものの近視が進むもの、乾きで一時的にかすむもの。原因が違えば、対応もまったく違います。
ひとつ目は、いわば本来の意味での後戻りです。レーシックは角膜の実質をレーザーで削ってカーブを平らにし、近視を矯正します。削られた部分を、角膜のいちばん表面にある上皮という薄い層が少しずつ厚くなって埋めようとすることがあり、その分だけカーブが元に近づきます。削る量が多い目ほど、この反応が出やすいと考えられています。
ふたつ目は、手術とは関係なく目の奥行き(眼軸)が伸びて起きる近視の進行です。角膜をどれだけ正確に削っても、眼軸の伸びを止める作用はありません。手術のあとに近視が進んだ場合、手術の効果が消えたのではなく、目そのものが変わり続けていた、という見方になります。
みっつ目は、ドライアイによるかすみです。度数は変わっていないのに、涙の膜が崩れると光が乱れてぼやけます。夕方になると見えにくく、まばたきをすると一瞬戻る。そういう見え方は、度数の戻りより涙の問題を先に考えるのが一般的です。40代以降であれば、手元の見えにくさ(老眼)を戻りと感じる方もいます。
若いうちに受けると戻る、は本当ですか?
年齢そのものより、度数がまだ動いているかどうかが問題です。米国食品医薬品局(FDA)は、この1年で処方が変わった人や20代前半以下の人を、度数が不安定になりうる例として挙げています。20代でも度数が止まっていれば検討でき、30代でも動いていれば待つ理由になります。
思い込みの中にある正しい部分は、「若い時期は近視が進みやすい人が含まれる」という点です。学生時代から毎年のように眼鏡を作り替えてきた方は、20代半ばでもまだ眼軸が伸びている可能性があります。その状態でレーザーを当てると、角膜は狙いどおりに治っても、数年後に眼軸の伸びの分だけ近視が戻ったように見えます。
同じFDAの資料では、ホルモンの変動(糖尿病、妊娠中・授乳中)や、見え方を揺らす薬を使っている場合も、度数が不安定になりうる状況として挙げられています。年齢は目安のひとつにすぎず、判断の軸は「時間をあけて測った度数が同じかどうか」です。
そのため、今の度数を1回測るだけでは足りません。1年以上あいた2回分の眼鏡やコンタクトの処方が手元にあると、検査当日の数字と並べて、変化の幅を見ることができます。
スマホやパソコンの見すぎで、度数は戻りますか?
大人になってからの画面時間が近視をどこまで進めるかは、子どもの近視ほどはっきりしていません。手術後に画面を長く見る方で目立つのは、度数の戻りよりも乾きによるかすみです。朝は見えるのに夕方ぼやける、というパターンがその典型です。
画面を見ているあいだは、まばたきの回数が減りやすくなります。涙の膜が途切れると、角膜の表面が光をなめらかに通さなくなり、度数とは関係なく文字の輪郭がにじみます。手術直後は角膜の神経が回復の途中にあるため、乾きを感じにくいまま表面が荒れていることもあります。
この思い込みにも正しい部分はあります。近くを見る時間が長い生活は、目の疲れや乾きを強めますし、もともと近視が進行中の方なら、その進みに関わる可能性も否定はできません。ただ、手術を受けたからといって画面の仕事を避ける必要があるわけではありません。乾きの仕組みと治まるまでの経過は、レーシック後のドライアイについての記事で詳しく書いています。
強度近視ほど戻りやすい、というのは本当ですか?
削る量が多いほど、上皮が厚くなって埋め戻そうとする反応は出やすいと考えられています。ただし、強度近視なら誰でも戻るというわけではありません。残る角膜の厚みと角膜地形図から、レーザーで無理をしない範囲に収まるかを判断し、範囲を超える場合は角膜を削らない方法を検討します。
強度近視の方の検査で私が見るのは、度数の数字だけではありません。角膜の厚み、地形図に円錐角膜のわずかな兆候がないか、暗い場所で瞳孔がどこまで開くか、涙液層の状態、眼圧、角膜内皮細胞まで確認します。削る量が増えるほど、残る角膜には余裕が必要になります。将来もう一度矯正が必要になったときの選択肢も、最初の手術でどれだけ角膜を残したかで変わります。
当院のエキシマレーザーはAMARIS Redです。ただ、どれだけ精密に削れたとしても、そのあと角膜がどう治ろうとするかは、その方の体の反応です。レーザーの精度が上がっても、治り方の個人差まではなくなりません。
レーザーで削る角膜が足りない場合の選択肢が、ICL(眼内コンタクトレンズ)です。ICLは角膜を削らず、虹彩と自分の水晶体のあいだに薄いレンズを入れて度数を矯正します。当院では、おおむね-10D以上の超高度近視でレーザーでは削る角膜が足りないと言われた方を、ICLを考える代表的なケースとしています。米国眼科学会(AAO)の技術評価でも、有水晶体眼内レンズは強度近視を矯正する方法のひとつとして位置づけられています。
ただし、ICLも眼軸の伸びを止めるものではないため、近視が進行中の目では度数の安定を待つという考え方は同じです。詳しくはICL(眼内レンズ挿入術)の案内をご覧ください。
戻ったら、もう一度削ればいいのでしょうか?
再手術ができる目もありますが、すべての目ではありません。残っている角膜に余裕があるか、形が安定しているか、なぜ戻ったのかを確かめてから決めます。角膜が足りなければ、削らずに眼内にレンズを入れるICLが候補になります。
再手術の方法は、検査結果によって変わります。残った角膜に余裕があれば表面を整えるラセック方式の再矯正、最初のレーシックのフラップの状態が良ければそのフラップを再び持ち上げての補正、角膜が薄すぎればICL、という順に考えます。スマイル(SMILE)を受けた目は、再矯正の方法がレーシックとは異なります。
当院はレーシック・ラセックの再手術専門センターを運営していますが、だからこそ「再手術しない方がよい目」があることも先にお伝えしておきます。原因が眼軸の伸びなのか、角膜の治り方なのか、乾きなのかで、削り直すことの意味は変わります。戻ったときの選択肢と流れは、再手術と度数の戻りについての記事とLASIK・LASEK 再手術の案内、韓国語の本院サイトの再矯正のページにまとめています。
後戻りより先に知っておきたいリスクと、向いていない目
後戻りの多くは度数が少し戻る形で現れますが、まれに角膜が薄くなって前に張り出す角膜拡張症のように、性質の違う重い変化もあります。手術前の地形図で円錐角膜の兆候を探すのは、その可能性をできるだけ手術前に除くためです。
レーシック全般のリスクとして、次のようなものがあります。
- 乾き、異物感(多くは一時的ですが、長引く方もいます)
- 夜間の光のにじみやまぶしさ(瞳孔の大きさとも関係します。夜間運転についての記事で説明しています)
- 低矯正・過矯正、度数の戻り
- まれに、角膜拡張症のような角膜の形の変化
向いていない、あるいは待った方がよい目もあります。この1年で度数が変わった方、円錐角膜の疑いがある方、角膜が薄い方、強いドライアイが整っていない方、妊娠中・授乳中の方などです。どれに当てはまるかは自己判断ではなく、検査で決まります。
渡航前に、処方の記録を2枚以上そろえておく
度数の安定を見るには、今の度数だけでは材料が足りません。1年以上あいた2回分の眼鏡やコンタクトの処方、または眼科の検査結果があると、検査当日の数字と並べて変化を見ることができます。
手元にあると判断が早くなるものは、次のとおりです。
- 眼鏡店や眼科で作った処方(日付が分かるもの)を2回分以上
- 今使っているコンタクトの度数(箱の表示の写真でもかまいません)
- 以前「円錐角膜の疑い」「角膜が薄い」などと言われたことがあれば、その記録
- 今使っている点眼薬の名前
ヒーリング眼科は新論峴駅から徒歩1分(江南大路470、10・11階)で、日本語の通訳とともに検査結果と手術計画をご説明します。検査から術後管理まで1:1の専任主治医が担当するため、何年かたって見え方が気になったときも、最初の検査データと照らし合わせて原因を分けることができます。コンタクトを外しておく日数や滞在日数は、目の状態で変わるため相談時に確認します。診療時間や場所はヒーリング眼科の日本語サイトにあります。

処方の記録が2枚そろったら、写真をLINEで送ってください。日付と度数の変化を医師が確認します。手術を受けられるかどうかの最終判断は、来院時の検査で決まります。
よくある質問
レーシックの後戻りは、手術から何年くらいで起こりやすいですか?
角膜が治る過程での度数の戻りは、手術後の比較的早い時期に現れやすいと考えられています。数年たってからの見え方の変化は、近視そのものの進行や乾き、年齢による変化も含めて原因を分けて考えます。どれに当たるかは、手術前と現在の検査データを比べて判断します。
後戻りを防ぐ目薬や生活習慣はありますか?
後戻りを確実に防ぐ方法はありません。処方された点眼を指示どおりに続ける、目をこすらない、乾きを放置しない、経過観察を受けることが基本です。手術前にできる準備としては、度数が安定してから受けることがいちばん効きます。
スマイル(SMILE)でも後戻りはありますか?
スマイルも角膜の組織を取り除いて度数を矯正する方法なので、角膜の治り方による度数の戻りや、眼軸の伸びによる近視の進行は起こりえます。また、スマイルの再矯正の方法はレーシックと異なります。どの術式が合うかは、角膜の厚みと地形図、度数の安定を見て決めます。
20代前半ですが、今レーシックを受けるのは早いですか?
年齢だけでは決まりません。この1年で処方が変わっていなければ検討できますが、毎年度数が進んでいる場合は待つ方がよいことがあります。1年以上あいた2回分の処方を比べると、判断の材料になります。
手術から数年後、片目だけ見えにくくなりました。後戻りでしょうか?
後戻りの可能性もありますが、乾きや、度数とは別の目の病気が原因のこともあり、症状だけでは区別できません。まずはお住まいの地域の眼科で診察を受け、手術を受けた病院の記録があれば持参してください。原因が分かると、再手術を考えるべきかどうかも見えてきます。