「いずれ戻る」は本当か――レーシック 戻る確率と強度近視の関係
レーシック 戻る確率は一律ではなく、度数の強さ・角膜の厚み・度数の安定で変わります。強度近視の方が術前に確かめたい点と、戻った場合の選択肢を説明します。
キム・ソニョン 代表院長
角膜・緑内障・白内障
医学監修キム・ソニョン 代表院長
編集: キム・ソニョン
目次
角膜地形図のカラーマップを画面に映して説明していると、強度近視の方から「何年かしたら、また戻りますか」と聞かれることがよくあります。「レーシック 戻る確率」と検索してから来られる方もいます。ヒーリング眼科代表院長のキム・ソニョンとして短くお答えすると、度数が戻る確率に全員共通の一つの数字はありません。
術前の度数の強さ、削ったあとに残る角膜の厚み、手術前の時点で度数が止まっていたかどうかで、同じレーシックでも戻りやすさが変わります。
日本の眼科で「度数が強いから戻りやすいかもしれない」と言われ、迷ったまま情報を探している方もいるはずです。ここでは、よく耳にする言い回しを順に取り上げ、角膜で実際に何が起きているのか、どこまでが当たっているのかを分けて書きます。

「レーシックはいずれ戻る」と言われるのはなぜですか
術後の度数は、多くの場合しばらく揺れてから落ち着きます。全員がいずれ戻るわけではありませんが、戻る人がゼロでもありません。戻りには、角膜が治ろうとする反応によるものと、眼そのものの近視が進むことによるものの2種類があります。
1つ目は角膜側の変化です。レーザーで削った部分の上では、表面を覆う上皮が少しずつ厚みを変え、削ったくぼみをなだらかにしようとします。削る量が深いほどこの変化が度数に表れやすく、術後しばらく見え方が揺れる理由の一つになります。
2つ目は眼の奥行き、つまり眼軸の変化です。レーシックは角膜のカーブを変える手術で、眼軸が伸びていく近視の進行そのものを止めるものではありません。手術のあとで眼軸が伸びれば、角膜の矯正はそのまま残っていても、眼全体としては近視の側へずれていきます。
手術は、近視になりやすい眼の性質まで変えるわけではありません。ただ、時間がたてば誰にでも同じように戻りが起こるわけでもありません。
強度近視ほど戻りやすい、は傾向として当たっています
度数が強いほど削る深さが増え、上皮の厚みの変化が結果に響きやすくなります。強度近視では削ったあとに残る角膜も少なくなりがちで、戻ったときに次の手を打つ余裕が限られます。戻る確率そのものより、この余裕を術前に見ておくことが判断の中心になります。
数字の目安として、メキシコの施設で482眼を3年間追った研究(International Ophthalmology, 2016)では、6.85%の眼に再矯正が行われ、-6Dを超える近視は再矯正の主な危険因子の一つに挙げられていました。施設や術式、追跡期間によって割合は変わるため、この数字をそのまま自分の眼の確率として読み替えることはできません。
検査では、角膜の厚みと角膜地形図、瞳孔の大きさ、涙液層の状態、眼圧、角膜内皮細胞までを確認します。強度近視の方で特に時間をかけて見るのは、予定の矯正量を削ったあとにどれだけの角膜が残るかという計算と、地形図に円錐角膜を思わせる上下の非対称がないかの2点です。地形図で円錐角膜の兆候が見られれば、手術を見送るのが原則です。
角膜の厚みについては、米国食品医薬品局(FDA)も、薄すぎる角膜に屈折矯正手術を行うと視力を損なう合併症につながりうるとして、手術前に確認すべき危険因子に挙げています。強度近視の方にとって、戻りの話と安全の話は同じ一つの数字、つまり残る角膜の厚みにつながっています。
残る角膜が少ないときはICLも候補になります
計算した余裕が小さい場合、レーザーにこだわる理由はあまりありません。
当院では、度数が非常に高い超高度近視(おおむね-10D以上)でレーザー矯正では削る角膜が足りないと言われた方に、角膜を削らずに眼内へレンズを入れるICL(眼内コンタクトレンズ)を選択肢としてご案内しています。米国眼科学会(AAO)の2009年の技術評価も、近視矯正の選択肢としての有水晶体眼内レンズを検討したうえで、白内障や角膜内皮細胞の減少といった合併症への注意を促しています。
ICLは角膜を削らないため、角膜の治癒反応による戻りという考え方はあてはまりにくくなります。ただし眼軸が伸びれば度数がずれる点はICLでも同じです。前房深度が浅い、角膜内皮細胞数が不足しているといった場合は、ICLも見送るか他の方法をあわせて検討します。
画面作業が多いと、度数は戻りやすくなりますか
画面作業そのものが、削った角膜を元の形に戻すわけではありません。影響が大きいのは、手術前に度数が止まっていたかどうかです。大人になっても近視が進んでいる眼では、手術後も眼軸の伸びで度数がずれることがあります。
FDAは、過去1年のあいだに眼鏡やコンタクトの度数を変えた人を、屈折矯正手術の候補としては慎重に考えるべき例に挙げています。年齢が若い方、妊娠中や授乳中の方、ホルモンの変動がある方、視力が変動しやすくなる薬を使っている方は度数が動きやすく、追加のリスクを医師と話し合うよう勧めています。
度数が止まっているかどうかは、過去の眼鏡やコンタクトの処方の記録を年ごとに並べると見えてきます。手元の度数が1年前と今とで動いているなら、それは手術の時期を見直す材料になります。日本で長く使ってきたコンタクトの箱や処方箋が、検査室では度数の推移を読む手がかりです。
画面作業の影響として実際に多いのは、度数の変化よりも乾きです。まばたきが減って涙の膜が乱れると、夕方に遠くがかすむことがあり、これを「戻った」と感じる方がいます。
「戻った」と感じても、度数の戻りとは限りません
見え方が悪くなったと感じても、原因が度数の戻りとは限りません。ドライアイによる涙の膜の乱れや、暗い場所での瞳孔の広がりでも、似たような「ぼやけ」が起こります。原因が違えば対処も違うため、まず見分けることが先です。
| 感じ方 | 考えられること | 確かめる検査 |
|---|---|---|
| 夕方や画面作業のあとだけかすみ、まばたきで変わる | 涙液層の乱れ(ドライアイ) | 涙液層とマイボーム腺の検査 |
| 夜の光だけにじみ、昼は気にならない | 瞳孔の大きさと矯正した範囲の関係 | 暗所での瞳孔径、収差の測定 |
| 昼も夜も遠くが同じようにぼやけ、何週間も続く | 度数の戻り(角膜側または眼軸側) | 屈折検査、角膜地形図、角膜の厚み |
FDAは、レーシックがドライアイを悪化させやすいことも危険因子として挙げています。涙液層が不安定な場合は、先にドライアイの管理から始め、涙の状態を整えてから度数を測り直します。乾いた状態で測った度数は、戻りの判断を誤らせることがあるからです。

夜だけ光がにじむ場合は、度数よりも瞳孔の大きさが関係していることがあります。夜の見え方についてはレーシック後の夜間運転と瞳孔の話で詳しく書いています。
戻ったら、もう一度矯正できますか
再度の矯正ができるかは、残っている角膜の厚みと、戻った原因で決まります。角膜に余裕があれば、表面から整えるラセック方式の再矯正や、レーシックのフラップの状態が良ければフラップを再び持ち上げて補正する方法が候補になります。余裕がなければ、角膜に触れないICLが検討されます。
ヒーリング眼科は、LASIK・LASEKの再手術専門センターを運営しています。他院で手術を受けた方の場合は、最初の手術の方式と結果を読み解くところから始めます。手元に以前の手術記録や術前の検査結果があれば、残っている角膜の見積もりに役立ちます。再手術の考え方はLASIK・LASEK 再手術のページに、韓国語の本院サイトの再矯正の案内にもまとめています。
戻りを理由に再手術をする場合も、角膜はさらに削られます。2回目の手術には1回目にはなかった制約があり、「戻ったらまたやればいい」という前提で1回目を計画するのは勧められません。手術全体のリスクの数字についてはレーシックの失敗の確率を扱った記事も参考になります。
戻りとあわせて知っておきたいリスクと、手術を待つべき人
手術前にできるのは、度数が止まった時期を選び、残る角膜に余裕のある方法を選ぶことです。一方で、眼軸の伸びや年齢による眼の変化を手術で止めることはできません。戻りの話は、レーシックそのもののリスクと切り離さずに考える必要があります。
レーシックで起こりうることとして、術後の乾き、夜間の光のにじみ(ハロー・グレア)、狙った度数からの過矯正や低矯正があります。多くは時間とともに落ち着きますが、個人差があります。頻度は低いものの重いものとして、角膜が弱って形が崩れる状態があり、薄い角膜や円錐角膜の兆候を術前に見つけることがその予防の土台になります。
次に当てはまる方は、手術を延期するか、別の方法を考える方が妥当です。
- この1年で眼鏡やコンタクトの度数が変わった方
- 妊娠中・授乳中の方、視力が変動しやすくなる薬を使っている方
- 傷の治りに影響する病気がある方、その薬を使っている方
- 角膜地形図で円錐角膜の兆候がある方
- 涙液層が不安定で、まだドライアイの管理が済んでいない方
日本から来られる強度近視の方にとって、戻りを見ていくうえで助けになるのは、同じ医師が同じ眼を続けて診ることです。
ヒーリング眼科は1:1専任主治医制で、検査から手術、術後の管理まで一人の主治医が担当し、検査結果は日本語の通訳とともにご説明します。ヒーリング眼科は新論峴駅から徒歩1分で、金曜は21:00まで診療しています。滞在日数は検査結果をもとに相談の際に確認し、休みの組み方は仕事を何日休むかをまとめた記事も参考にしてください。
過去の眼鏡やコンタクトの処方箋、日本の眼科の検査結果があれば、写真を年の順にそろえてLINEで送ってください。数字によっては、今はレーザーを急がない方がよいという結論になることもあります。
よくある質問
レーシックで度数が戻るとしたら、術後どのくらいの時期が多いですか?
一般に、術後しばらくは角膜の表面の厚みが変わるため度数が揺れやすく、その後落ち着くことが多いです。数年たってからの変化は、眼軸が伸びるなど眼そのものの近視の進行が関わっていることがあります。時期には個人差があり、検査で原因を分けて確認します。
自分が戻りやすいかどうかは、手術の前に分かりますか?
完全に予測することはできませんが、傾向は検査で読み取れます。度数の強さ、角膜の厚みと地形図、過去1年ほどの度数の安定が主な手がかりです。過去の眼鏡やコンタクトの処方の記録があると、度数が止まっているかを判断しやすくなります。
片目だけ度数が戻ることはありますか?
あります。左右の眼は度数も角膜の厚みも同じではないため、戻り方にも差が出ることがあります。術前の検査も術後の確認も、左右それぞれの眼で行います。
スマイルレーシック(SMILE)なら戻りにくいのですか?
どの術式でも、度数が戻る可能性はあります。術式ごとの戻り方の違いより、度数の強さや角膜の厚み、度数の安定といった眼の条件の方が判断を左右します。またスマイルレーシックは、再矯正の方法がレーシックとは異なる点も術前に知っておきたいところです。
日本や他院でレーシックを受けて戻った場合も相談できますか?
ヒーリング眼科はLASIK・LASEKの再手術専門センターを運営しており、他院で手術を受けた方も対象です。再手術ができるかは残っている角膜の厚みと戻った原因で決まり、角膜に余裕がなければICLが検討されます。以前の手術記録があれば持参してください。